⛓️CoT(思考の連鎖)
複雑なタスクにおいても、正確な答えを引き出す必殺技🔥
💡CoT とは
CoT(Chain-of-Thought:思考の連鎖)とは、言語モデルが答えを導き出すためのステップを明確にすることで、言語モデルの推論能力を高めるテクニックです。Wei et al. (2022) が提唱しました。複雑な推論タスクを ChatGPT に実行させることができます。
フューショット(Few-Shot)を組み合わせて、ChatGPT に推論のステップを分かりやすく説明した例(手本)を見せることで、ChatGPT も推論のステップを示しながら正確な回答をしてくれます。段階を踏んで、途中のプロセスを詳細に説明してあげることで、より ChatGPT の理解度を高め、より精度の高いアウトプットを引き出すことが可能です。
以下は、ChatGPT にとって3大苦手タスクの1つとされている「算術推論」を、標準プロンプトと CoT で比較した結果になります。
🥷ミッション:説得力のある提案書を生成する
ここでは、とあるビジネスパーソンが Microsoft の Word で、AI ライティングサービス「Catchy」の提案書(BtoB 向け)を作成していると仮定しましょう。まずは、標準プロンプトを与えてみたところ、生成された提案書は以下の通りです。
それなりのものはできましたが、どこか具体性がなくぼんやりとした印象…。これではモンスターを倒すことミッションをクリアすることはできません。提案書は作成して終わりではなく、提案先に自社のプロダクトやサービスを契約してもらうことが目的なので、私たちのミッションは「提案先の心を動かす、説得力のある提案書を作成すること」です。
以下では、早速CoTを活用して、提案先の心を動かす提案書にブラッシュアップしていきます。
🔥CoT の発動方法
Step 1. ChatGPTに効果的な提案書の書き方を聞く まず、最終形態のプロンプトを書く前に、素材のストックが必要です。ここでは、「説得力のある提案書を書くためのステップ」をChatGPTに尋ねます。質の高いアウトプットを引き出すためには、このプロセスを明確に指示してあげることが重要です。
プロンプト: Microsoft Wordを使って、B2B向けサービスの提案書を作成しています。説得力のある提案書の書き方を、ステップバイステップで教えてください。
この作業によって、「(質の高い)提案書を生成する」という大きなタスクが細分化され、目標に辿り着くまでのプロセスがより具体化します。
Step 2. ショット用のアウトプットを生成する 次に、ショット用のアウトプットを用意します。ショット用のサービス・企業は何でもOKです(以下は、架空のサービス名および企業名を使っています)。

すると、Step 1の「説得力のある提案書を書くためのステップ」を踏んだ、ショット用のアウトプットが生成されます。ここまでで、素材を集める作業は終了です。
Step 3. ショットを与える 素材が集まったところで、ここからは、本番のプロンプトを作成していきましょう。まず、Step 2のプロンプトで使用したサービス名や企業名を入力します。

Step 4. 「A: 」の後に素材①をコピペする
ChatGPTが生成するアウトプットの見本となる「A: 」以降に、以下のステップを踏む旨を記載し、Step 1で生成した素材「説得力のある提案書を書くステップ」をコピペします。
これによって、ChatGPTが提案書を書く上で重要なステップを踏んでから、アウトプットを生成してくれるようになります。
Step 5. 素材①の後に素材②をコピペする
次に、上記のステップを踏んで作成した提案書であることを明記した上で、素材②をコピペします。この文章をワンクッション挟むことで、ChatGPTに「素材②=素材①のステップを踏んで生成されたアウトプット」であることを理解させます。

必要に応じてショットを何回か与え、ChatGPTにプロセスを繰り返し学習させます。
Step 6. 本命のサービス名や企業名を入力する 最後に、提案書を作成したい本命のサービス名や企業名を記載し、プロンプトを送信しましょう。
すると、ChatGPT が「A: 」に続けて文章を生成してくれます。

以下が、最終的に生成された提案書です。具体的なスケジュールや定量的データが含まれ、より明確で説得力のある提案書に生まれ変わりました。
このように、CoTによって最終的な答えを導き出すためのステップを明確化することで、ChatGPT に思考プロセスを学習させ、より質の高いアウトプットを引き出すことが可能です。
参考
最終更新